関数の性質

  1. 偶関数と奇関数
  2. 逆関数
  3. 多価関数
  4. 指数関数
  5. 対数関数
  6. 三角関数
  7. 三角関数の逆関数
  8. オイラーの式
  9. 指数関数に関連した関数

  1. 偶関数と奇関数
  2. 逆関数
      関数 f(x) を用いて、y が
      y = f(x)
      と表されるとき、これを x についての方程式とみなし、x について解き、
      x = g(y)
      と表されたとする。
      このとき、g(x) を f(x) の逆関数と呼び、f-1(x) と書く。

      したがって、

      y=f(x)
      のとき、
      x = f-1(y)
      と表すことができる。
      ここで、 f-1(y) は f(x) の逆数[ 1/f(x) ]ではないので注意すること。

      a, b が

      b=f(a)
      を満足するとき、
      a=f-1(b)
      が成り立つので、 (a, b) が曲線 y=f(x) 上の点であるならば、 (b, a) は y=f-1(x) 上の点である。 したがって、 y=f(x) と y = f-1(x) とは、 y=x に関して対称な 図形 となる。

  3. 多価関数
  4. 指数関数
      a が正の数 ( a > 0 ) のとき、
      y = ax
      は x-y 平面上で滑らかな曲線を描く。 これを a を底とする指数関数と呼ぶ。
      特に、a の値が、
      (1+1/n)n → 2.71828... ( n→∽ )
      のとき、
      y = ex
      y = exp(x)
      とも書き、指数関数と呼んでいる。
      定数 2.71828... は記号 e を用いて表し、自然対数の底と呼ぶ。
      e = 2.71828...
      指数関数は、
      C ea(t+t0) = C eat×eat0 = C'eat
      と変形できるため、時間を移動しても指数関数のままである。 ただし、 C' = C eat0 である。
      この性質のため、指数関数は、 時間的に再現性のある現象の記述に適している。
      指数関数は、電気回路でのコンデンサの放電現象の記述などに使用される。

  5. 対数関数
      指数関数 y = exp(x) の逆関数
      y = loge x
      を自然対数と呼ぶ。 10 を底とする対数を常用対数と呼ぶが、これと区別するために、 自然対数を
      y = ln x
      と書き表すこともある。
      指数関数 exp(x) と対数関数 ln x は互いに逆関数であるため、 これらのグラフは y=x に関して対称な図となる。
      常用対数 log10 x において、x が 10p であるとき、 log1010p= p となるので、x の桁数を知るのに便利である。 このことから、歴史的には、天文学の分野で、地球と太陽との距離のような 大きな数を扱う必要性から対数が考案された。

  6. 三角関数
    三角関数の定義と性質
      sinθ = b/c
      cosθ = a/c
      tanθ = b/a
      sin2θ+cos2θ = (b2+a2) / c2 = 1

  7. 三角関数の逆関数
      y = f(x) x = f-1(y)読み
      y = sinθ θ= sin-1 y アーク・サイン y = b/c
      y = cosθ θ= cos-1 y アーク・コサイン y = a/c
      y = tanθ θ= tan-1 y アーク・タンジェント y = b/a
      y = cotθ θ= cot-1 y アーク・コタンジェント y = a/b

  8. オイラーの式
      指数関数と三角関数には次のような恒等式が成り立つ。
      このように複素数を利用すれば三角関数を指数関数で表すことができる。

      f(t) = A cosωt + B sinωt
      において、t を t0 だけ移動すると、
      f(t+t0) = A' cosωt + B' sinωt
      と表される。 ただし、
      A'= A cosωt0 + B sinωt0
      B'= B cosωt0 - A sinωt0
      である。
      このことから三角関数も指数関数と同様に、時間の移動に対して、 同じ関数に変換され、時間的に再現性のある現象を記述するのに都合がよい。 しかし、sin と cos の2つの関数を用いる必要がある。 これに対し、指数関数を利用すると、
      f(t) = A ejωt
      f(t+t0) = A' ejωt
      ただし、
      A' = A ejωt0
      となり、より簡素化された操作で済む。
      このような理由で、現象の記述に三角関数の代わりに指数関数が用いられる。 ただし、三角関数の場合は実数で扱えたものが 指数関数の場合には複素数とともに取り扱う必要が生じる。

      正弦振動の周期が等しい2つの関数の和が

      A ejωt + B ejωt = (A+B)ejωt
      と同じ関数で表現できることは、 現象を指数関数を用いて解析するときに、 重ね合わせが可能であることを意味する。 このような性質は線形性と呼ばれている。

  9. 指数関数に関連した関数