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5 電圧と電流の測定

5.1 交流波形と測定値

測定電圧の瞬時値を$V(t)$とすると, 交流波形は
\begin{displaymath}
V(t)=A\sin \omega t
\end{displaymath} (44)

と表すことができる. ここで,

 $A$ :振幅  

$t$ : 時間
$\omega$ : 角周波数 ($=2 \pi f$)

平均値$V_{av}$ (Average)と実効値$V_{rms}$ (Effective Value または、根二 乗平均ともいう$\rightarrow$Root Mean Aquare)は, 以下のように定義される.

$\displaystyle V_{av}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{1}{T}\int_{0}^{T}\vert A \sin \omega t \vert dt$ (45)
$\displaystyle V_{rms}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \left\{\frac{1}{T}\int_{0}^{T}A^{2}\sin^{2}\omega t dt \right\}^{1/2}$ (46)
  $\textstyle =$ $\displaystyle \left\{\frac{A^{2}}{T}\int_{0}^{T}\sin^{2}\omega t dt \right\}^{1/2}$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \left\{\frac{A^{2}}{T}\int_{0}^{T} \left(\frac{1}{2}-\frac{\cos 2 \omega t}{2} \right) dt \right\}^{1/2}$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \left\{\frac{A^{2}}{T} \left( \int_{0}^{T} \frac{1}{2} dt - \int_{0}^{T} \frac{\cos 2 \omega t}{2} dt \right) \right\}^{1/2}$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \left\{\frac{A^{2}}{T} \left( \left[ \frac{1}{2}t \right]_{0}^{T} - \left[ \frac{\sin 2 \omega t}{4} \right]_{0}^{T} \right) \right\}^{1/2}$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \left\{\frac{A^{2}}{T} \left( \frac{T}{2} - 0 \right) \right\}^{1/2}$  
  $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{1}{\sqrt{2}} A$ (47)

正弦波の場合, 波高値(ピーク値, peak value)と振幅は同じである. 交流電圧の実効値とは, 抵抗器に交流電圧の周期と等しい時間だけ直流電流が流 れたときに, その周期中に抵抗器で消費される直流電力に等しい熱損失を抵抗器 に発生させる交流電圧である.

5.2 指示電気計器

5.2.1 指示電気計器(アナログ計器)の精度

日本工業規格JISによれば, 0.2級, 0.5級, 1.0級, 1.5級, 2.5級 の5つに分類 されいる. 0.5級とは, 定格値(最大の触れ値)に対して0.5% の誤差を有するということで ある. 例えば2.5Vの電圧を1.0級の電圧計の3Vレンジで測定すれば, 誤差率は
\begin{displaymath}
3\times \frac{1.0}{100} \times \frac{1}{2.5} \times 100 = 1.2 \%
\end{displaymath} (48)

2.5Vの電圧を1.0級の電圧計の10Vレンジで測定すれば, 誤差率は
\begin{displaymath}
10\times \frac{1.0}{100} \times \frac{1}{2.5} \times 100 = 4 \%
\end{displaymath} (49)

となる. なるべく測定値に近いレンジで読むことが大事になる.


5.3 指示電気計器の構成要素

アナログの計器では, 指示電気計器の3要素に「駆動装置」、「制御装置」、 「制動装置」が挙げられる. 「駆動装置」は指針を動かすための駆動トルクを発生させる装置. 「制御装置」は指針を元の位置に戻そうとする制御トルクを生ずる装置で, 指針 は駆動トルクと制御トルクの釣り合った位置で静止する. 「制動(Damping)」はブレーキのことで, 制動が働くことにより指針の動きと逆 方向の力が働く.

5.4 係数電気計器(ディジタル計器)の精度

5.5 指示電気計器の動作原理による分類

代表的なのが「可動コイル型」と「可動鉄片型」

5.5.1 可動コイル型計器

平等な磁界中に可動コイルを挿入した形の計器を可動コイル型計器と言う。 平等磁界は、永久磁石や別のコイルで作る。

5.5.2 可動鉄片型計器

コイルによって生じた磁界中に鉄片を置くとその鉄片は磁化され力を受ける。 その力は、電流の2乗に比例する。このコイルと鉄片磁気力を利用したのが、 可動鉄片型計器である。

5.6 電流の測定

5.6.1 直流電流の測定

一般的に電流の測定は、電流計を用い以下の図のように接続する。
図 6: 直流電流の測定
\includegraphics[width=6cm]{/home/nisimiya/Bunsho/Daigaku_and_Jimu/Lesson/Subject/Keisoku/FIG/cur_bassic.eps}


\begin{displaymath}
I=\frac{V}{R+r}
\end{displaymath} (50)

電流計の測定範囲を変更するには、分流器を用いる。 例えば、内部抵抗$r=0.1$ $\Omega$, 最大測定電流 10mA の電流計を用いて100 mA, 1 A, 10 A の電流を測定するにはどうすればよいか。

図 7: 分流器
\includegraphics[width=5cm]{/home/nisimiya/Bunsho/Daigaku_and_Jimu/Lesson/Subject/Keisoku/FIG/bunryu.eps}

電流計に流すことができる電流値は$10$ mA であるので、電流計にかかる最大電 圧は $0.1 \times 0.01 = 0.001$ V である。 $I=100$ mAまで測定できるようにするには、$i_{B} = 90$ mAとなるように $R_{B}$を決めればよい。 したがって、 $R_{B}=0.001/0.09 = 0.0111$ $\Omega$となる。

同様に、1 A, 10 A のときは、それぞれ、$i_{B} = 990$ mA $R_{B}=0.001/0.99
= 0.00101$, $\Omega$, $i_{B} = 9990$ mA $R_{B}=0.001/9.99 = 0.0001$ $\Omega$となる。

5.6.2 交流電流の測定

交流電流や交流電圧の測定には、整流器を用い交流を直流に変換する必要がある。 整流器には一般的にはダイオードが用いられ、その形式には半波整流型と全波整 流型がある。

5.6.3 導体電流の測定

式の導出

等価回路で説明 $\longrightarrow$ 実際の絵で説明。

5.7 電圧の測定

5.7.1 直流電圧の測定

一般的には稼働コイル計器が用いられ、電圧範囲の拡大には、倍率器を用いる。
図 8: 直流電圧の測定
\includegraphics[height=6cm]{/home/nisimiya/Bunsho/Daigaku_and_Jimu/Lesson/Subject/Keisoku/FIG/baritsu.eps}

倍率器を用いた場合の電圧は、次式となる。

\begin{displaymath}
v = \left( 1 + \frac{R_{m}}{R_{v}}\right) V_{v}
\end{displaymath} (51)

5.7.2 交流電圧の測定

pp.92 整流電圧計

電子電圧計

電子電圧計のプローブについて、

ディジタル電圧計 $\longrightarrow$ 測定電圧をA/D変換して計数表示する。

5.7.3 高電圧の測定

容量分圧器を使用する。
図 9: 量分圧器
\includegraphics[height=5cm]{/home/nisimiya/Bunsho/Daigaku_and_Jimu/Lesson/Subject/Keisoku/FIG/high_volt.eps}
いま、未知の電圧を$V_x$とする。 図の電圧計は、静電電圧計を表す。全容量を$C$で表すと

\begin{displaymath}
\frac{1}{C}=\frac{1}{C_1} + \frac{1}{C_2+C_v}
\end{displaymath}

$C_1$の電荷と$(C_2 + C_v)$の電荷は等しい。$Q=CV$より、

\begin{eqnarray*}
C_1 V_1 = ( C_2+ C_v) V_2 \\
V_1+V_2=V
\end{eqnarray*}

したがって、これらを解けば、
\begin{displaymath}
V_2=\frac{C_1}{C_1+C_2+C_v}V
\end{displaymath} (52)

となる。

5.7.4 電位差計による測定

電位差計は標準電池の起電力と比較して電圧を正確に測る測定器である。 電圧は電圧計によっても測れるが、電圧計はわずかであるが電流を流しながら測 定するので、電圧計をつないだことですでに電圧の値が少し変化してしまう。 これに対し電位差計は測定回路から電流を取らないで正確に測定する装置である。
図 10: 電位差計の原理
\includegraphics[height=10cm]{/home/nisimiya/Bunsho/Daigaku_and_Jimu/Lesson/Subject/Keisoku/FIG/dennisa.eps}
10 において、可変抵抗 $V_{R}$ を調整して、抵抗線 AB に一定電流$I$ を流しておく。 切替スイッチ S を $E_{S}$ 側に倒し、深針を移動させて検流計 G に電流が流れないよ うに調整し、P$_{1}$ とすると次式が成立する。
\begin{displaymath}
E_{S} = I \cdot r_{1}
\end{displaymath} (53)

但し、$r_{1}$ は B $\cdot$ P$_{1}$ 間の抵抗である。 次に S を $E_{X}$ 側に倒し、再び検流計 G に電流が流れないように、深針を移動し、P$_{2}$ になったとすれば (54) 式が成立する。
\begin{displaymath}
E_{X} = I \cdot r_{2}
\end{displaymath} (54)

第 (53),(54) 式より $E_{X}$ を求めると第 (55) 式となる。
\begin{displaymath}
E_{X} = \frac{r_{2}}{r_{1}} \cdot E_{S}
\end{displaymath} (55)

従って、上式より電流 $I$ を一定に保つことにより基準電圧 $E_{S}$ が既知ならば、$E_{X}$ は、抵抗比と $E_{S}$ で求めることができる。
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Nobuo Nishimiya
平成18年9月25日