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1.1.1 計測の定義
測定 ものの大きさや量を単位量の何倍になるかを求めること。
計測 測定結果を情報として利用できるようにする。
(統計的処理などを施す)
1.測定装置と測定技術の設計,開発,応用
2.測定データを解析、解釈して意味ある情報を得る。
3.測定単位系の確立
1.2.1 直接測定法と間接測定法
- 直接測定法 被測定量を直接測定する.
(例)ものの長さを物差しで計る. 電流計で電流を計る. など
- 間接測定法 被測定量と関係のある別の量を測定し, その結果か
ら計算で算出する.
(例) 抵抗に流れる電流と抵抗にかかる電圧を測定し, 計算によって抵抗値を求
める. 電流と電圧から電力を求める. など
- 偏位法
偏位をそのまま測定する
- ゼロ位法
基準量を変化させて差をゼロとする
(例) 電位差計やブリッジなど
- 補償法
基準量との差を求める(差は必ずしもゼロとしない)
(例) 標準周波数 と未知の周波数 との差周波(ビー
ト信号の周波数)を測定し, 未知の周波数 (
) を
求める.
(余談) 柱につけた一昨年の5月5日のキズの位置と, 子供aの
身長を比較して, その差を求めるのも, 補償法??
- ディジタル測定法
測定値を直接数値で表示
- アナログ測定法
指針計の計器などで連続した量で表示
かたよりの大きさで判断(真値からのずれ)。
ばらつきの大きさで判断(分散や標準偏差)。
(例)下表の測定例で、電流計Aと電流計Bはどちらが精度が良いか? (平均と分散
を求めてみる)
表 1:
二種類の電流計を用いて、5.0 Aの電流値を10回測定
|
1回 |
2回 |
3回 |
4回 |
5回 |
6回 |
7回 |
8回 |
9回 |
10回 |
平均 |
電流計A |
5.5 |
4.7 |
4.3 |
5.6 |
5.0 |
5.8 |
5.7 |
5.1 |
4.3 |
4.8 |
5.1 |
電流計b |
5.1 |
5.0 |
5.2 |
5.3 |
5.1 |
5.2 |
5.1 |
5.1 |
5.3 |
5.2 |
5.2 |
誤差
真の値に対する測定値のずれ
誤差率
補正
ここで、
M : Measurement
T : True value
誤差の原因については、一概に特定することはできないが、以下のような原因が考えられる。
- 個人誤差
操作ミス、単位系の読み間違い、計算間違い、レンジのミス
- 測定器の誤差
ゼロ点の狂い, 計器の姿勢, 自己加熱、
- 環境による誤差
周囲温度・湿度の影響、外部磁界の影響
- ランダム誤差
熱雑音による抵抗の揺らぎ
誤差をその振舞で分けると「系統誤差」と「偶然誤差」の分けられる。
すなわち、「系統誤差」というのは、測定結果に偏りを生じさせる誤差のこと
であり、「偶然誤差」は系統誤差を除いた後も以前として残る誤差のことである。
測定値、, , , の平均値 は、
|
(1) |
標準偏差を(分散はと表す)とすると、
|
(2) |
ただし、, , , は、各測定値の
平均値からのずれをあらわしている。
一般的に測定回数を多くすれば分散が小さくなる(誤差が小さくなる)が、10個以上になるとあまり効果がなくなる。
ランダムな誤差の発生確率は一般的にガウス分布に従う。
ガウス分布曲線の式は、以下のように表せる。
|
(3) |
ただし、は定数である。
観測値に対する真値の差の2乗和を最小にする。
いま、, を測定して、以下の表が得られたとする。
表 2:
に対するの測定結果
|
1回 |
2回 |
3回 |
|
n回 |
xの値 |
|
|
|
|
|
yの値 |
|
|
|
|
|
いま仮に、とが以下のように1次式で表すことができるとする。
|
(4) |
この式のに, , , , を代入して得ら
れる値を , , , , とすると、
|
(5) |
が最小になるaとbを求めれば良い。
具体例を以下に示す。
表 3:
最小2乗法の具体例
|
1回 |
2回 |
3回 |
4回 |
5回 |
xの値 |
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
yの値 |
3.6 |
7.2 |
9.5 |
15.5 |
18.1 |
式(5)を具体的に求めると、
となる。このまま計算するのはチョットしんどい。
が最小になる, を求めれば良いのだから、 と
で偏微分した式が0になる, を求めることとする。
まず、で偏微分すると、
次に、で偏微分すると、
式(7), (8)を連立させて解くと、
となる。
これをグラフ化したものが、図(1)である。
図 1:
のグラフにFitさせた例
|
これらの手順をもう少し、一般化する。
表(2)について、式(6)の前半部分により、
行列式の形で表せば、
|
(11) |
したがって、
|
(12) |
(練習問題)
以下の表において、の関係がある時、最小2乗法により,
, を求めよ。
表 4:
最小2乗法の練習問題
|
1回 |
2回 |
3回 |
4回 |
5回 |
xの値 |
1.0 |
2.2 |
2.9 |
4.1 |
5.0 |
yの値 |
2.0 |
5.2 |
10.5 |
17.0 |
27.5 |
(解答)
与えられた式に適合するように一般化して求める。すなわち、
行列式の形で表せば、
|
(16) |
したがって、
|
(17) |
測定値の誤差が、最後の結果にどのような影響をおよぼすか。
- (1)
- 求める量が、2つの量, の和(または差)で表せるとき
|
(18) |
実際には誤差を考慮すると、
誤差は和の形で伝搬する。
(例題) A君の体重は kg、 B君の体重は kgであった。
A君とB君を合わせた体重の誤差と相対誤差を求めよ。
- (2)
- 求める量が、2つの量, の積で表せるとき
|
(21) |
実際には誤差を考慮すると、
(例題) 電圧と電流を測定したところ、 V,
A であった。電力の誤差と相対誤差を求めよ。
(解答)
電力の誤差は, 40 w で, 相対誤差は %.
- (3)
- 求める量が、2つの量, の商で表せるとき
|
(25) |
実際には誤差を考慮すると、
(例題) 6 % の誤差を持つ25 の抵抗に Vの電圧を印加し
た. 流れている電流の誤差と相対誤差を求めよ.
(解答)
25 の6 %は 1.5 であるので,
四捨五入する数字が正確に5の場合は, そのうえのけたが偶数になるように繰り
上げるか切り捨てる.
例えば, 23.5のとき小数点以下を四捨五入すれば24になる.
26.5のときは小数点以下を四捨五入すれば26になる.
32500などと書くと有効数字が明確にならない.
な
どと書く.
ある装置(回路)への入力電力を, 出力電力をとすると電力利
得Gは,
[例題]
10 mWの入力電力を40 Wまで増幅した. 電力利得は何[dB]か.
ある装置(回路)への入力電圧を, 出力電圧をとすると
電圧利得は,
[例題]
電力を [dBm]で表した単位.
したがって1mWは0dBmになる.
|
(35) |
基本単位を[m], [kg], [s], [A]とした単位系
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Nobuo Nishimiya
平成18年9月25日