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自然対数

10を底とする対数を常用対数と呼ぶ。 常用対数は非常に大きな数や、微少な数の桁数(概数)を知る上で有用である。 たとえば、

\begin{displaymath}
\log_{10}2000 = \log_{10}(2\times10^3) = 3+\log_{10}2\simeq 3.3
\end{displaymath}

であることからもわかるように、 その常用対数が $3.\cdots$である数は、$3+1$桁の数値である。

このように、概数を求める上で常用対数は有用であるが、 微分や積分を計算する上では $e=2.71828\cdots$を底とする方が便利である。 $e$はネピアの数と呼ばれ、これを底とする対数を自然対数と呼んでいる。

指数関数と対数関数の関係、

\begin{displaymath}
y=a^x\qquad\Leftrightarrow\qquad \log_{10} y = x\log_{10} a
\end{displaymath}

から、 $\displaystyle y = {10}^{x\log_{10} a}$と書き表すこともできるので、 $t=x\log_{10} a$と置き換えれば、

\begin{displaymath}
\log_{10}y=t,\qquad y =10^{t},\qquad(t=x\log_{10}a)
\end{displaymath}

とあらわされる。したがって、$y=10^t$のグラフから、横軸$t$のスケールを変 換して$y=a^{x}$を表すことができる。 このように、指数関数は$a$の選び方に依らず、同じようなグラフになる。

ところで、$y=a^x$の微分を計算すると、

\begin{eqnarray*}
\frac{dy}{dx}&=&\lim_{h\to0}\frac{a^{x+h}-a^x}{h}\\
&=&\lim...
...h-1}{h}\\
&=& C\times a^x,\quad(C=\lim_{h\to0}\frac{a^h-1}{h})
\end{eqnarray*}

と表されるので、$C=1$となるよう$a$を定めると、微分が簡潔な式になる。 このためには、

\begin{displaymath}
1=\frac{a^h-1}{h}
\end{displaymath}

と置く。この式を$a$について解くと、

\begin{eqnarray*}
h=a^h-1,\qquad a^h = h+1
\end{eqnarray*}

より、

\begin{eqnarray*}
a &=& (1+h)^{1/h} = (1+\frac{1}{N})^{N},\quad(N=\frac{1}{h})
\end{eqnarray*}

と表される。これより、

\begin{displaymath}
a =\lim_{N\to\infty}(1+\frac{1}{N})^N
\end{displaymath}

であれば、 $\displaystyle \frac{d}{dx}a^x=a^x$となり、 微分(導関数)がもとの関数と一致する。 この

\begin{displaymath}
\lim_{N\to\infty}(1+\frac{1}{N})^N= 2.71828\cdots
\end{displaymath}

はネピアの数と呼ばれている。 ネピアの数は無理数であるため、円周率を$\ \pi\ $と表すのと同様に、 通常、記号$e$で表す。この表記はオイラーによって提案された。




平成15年12月23日