1 換算質量の求め方

2原子分子の回転の中心から原子核までの距離を$r_1$, $r_2$とすると、 全慣性モーメント$I$は

$$I = m_1 r_1^2 + m_2 r_2^2$$ (1)

となる。 2原子分子を一つの質点が回転している回転体と等価な慣性モーメントを持つと 仮定すると、

$$I= \mu r_e^2$$ (2)

なる式で表せる。この$\mu$を換算質量という。 換算質量を以下の手順で求める。

2原子分子の回転の中心は重心でもあるので、

$$m_1 r_1 = m_2 r_2$$ (3)

である。原子間距離を $r_e$とおくと、 $r_e = r_1 + r_2$であるので、 式(3)より、

$$r_1 = \frac{m_2}{m_1} r_2 = \frac{m_2}{m_1} (r_e - r_1) = \frac{m_2}{m_1} r_e - \frac{m_2}{m_1} r_1$$ (4)

$$したがって、$$

$$r_1 = \left(\frac{m_2}{m_1 + m_2}\right) r_e$$ (5)

$$同様に$$

$$r_2 = \left(\frac{m_1}{m_1 + m_2}\right) r_e$$ (6)

上式を式(1)に代入すると、

$$I = m_1 \left\{ \left(\frac{m_2}{m_1 + m_2}\right) r_e \right\}^2 + m_2 \left\{ \left(\frac{m_1}{m_1 + m_2}\right) r_e \right\}^2$$ (7)

$$= \left(\frac{m_1 m_2}{m_1 + m_2}\right) r_e^2$$ (8)

となる。