TEM線路 偶励振

下図(左)に断面を示す伝送線路を伝搬するTEM波を解析する.
電極1および電極2を1[v],groundを0[v]とする.(偶励振)
このとき,電界分布の対称性から,解析は全体の1/4の領域で済ませることができる (右図).


[図]  伝送線路の断面図

  1. ESTEのインストール

    Advanced Science Laboratory社の 静電界静磁界解析キット(Static-field Analysis Toolkit)の教育バージョンである SATE(フリーウェア)[http://www.asl-i.com/contents/soft/sate/]は ラプラス方程式を解いて,2次元の静電界、静磁界解析を行うことができる.
    このソフトを用いて伝送線路を伝搬するTEM波解析してみる.

  2. 断面形状の設定 (a/2=200[μm], s/2=150[μm], h=100[μm])

    構造の対称性を利用して,解析領域を全体の1/4に取る. (x: 0 〜 0.5[mm],  y: 0 〜 0.5[mm])

    手順

    1. 解析領域の座標 Xmin, Xmax, Ymin, Ymax を与える
    2. Region 1 として解析空間を与える
    3. Region 2 としてground(0[v])の座標を与える
    4. Region 3 として電極(1[v])の座標を与える
    5. Region 1--3 中の誘電体,あるいは,導体で満たされる領域を指定する
    6. ファイルに保存する(拡張子: MIN)
  3. 有限要素法メッシュの生成

    手順

    1. 上で保存した断面構造を含むファイル(拡張子 MIN)を読み込む
    2. 有限要素法メッシュを生成する
    3. ファイルに保存する(拡張子 MOU)
  4. 解析と静電エネルギ計算

    手順

    1. 上で保存したメッシュ情報を含むファイル(拡張子 MOU)を読み込む
    2. 解析空間の誘電率および電極の電位を与える
    3. その値などをファイルに保存する(拡張子 EIN)
    4. 上で保存したファイル(拡張子 EIN)を読み込み,有限要素法解析を実行する
    5. 得られた結果をファイル(拡張子 EOU)から読み込む
    6. 保存ファイルを指定して,結果を分析し, 蓄積エネルギの値を求める

    シミュレーションにより得られた静電エネルギ値 E=9.293029E-12 より,以下のようにして,偶モードの特性インピーダンス Zeven の値 44.9[Ω]が求まる.
    • 全エネルギ: 4E
    • 特性インピーダンス: Zeven = v2/(2×c×4E) = 44.9[Ω]
    • ただし,c(=3×108[m/sec])は光速を表す